『目の前のアイテムが一瞬でキャッシュ(現金)になる』
…何の魔法ですか?
いやいや、マジックでも魔法でもありません。
2017年6月28日に実際にこのサービスは始まっていたのです!
(注:2017年6月29日現在「査定」がストップ中)
サービスの名称は「CASH」(現在はiOSアプリのみ)
- 同名の無料アプリ「CASH」に登録(初回のみ)
- 現金化したいアイテムを「CASH」アプリで撮影すると、すぐに査定額が表示
- 査定額で納得し、「キャッシュ化」の処理を行うと…即座に現金が入る(銀行などで引き出し可能に)
- アイテムを「キャッシュ(現金)」に変えてから2ヶ月以内に以下のどちらかの方法で処理する
- キャッシュを返す(返金手数料15%が必要)
- キャッシュを返さない(アイテムを送付する)
なんと自分の手元にまだアイテムがある状態で、先に現金が入ってくるのです!
ほ…ほほぅ…それはすぐに現金が必要な人にとっては面白いサービスですね。
…ただ、本当にそれで大丈夫なの!?
…というか、けっこうまずくない?
ということで、あまりにも斬新すぎて法的なところも気になるレンディングサービス「CASH」について問題点も含め考えてみました。
「CASH」は、超絶手軽な「質屋さん」みたいなもの?
2ヶ月以内に、現金を返す(返金手数料15%含)か、アイテムを送るか。
イメージとしては、どうしても「質屋さん」を思い浮かべます。(厳密にはキャッシュにした時点で売買が成立するので「質屋」方式ではないそうですが)
アイテム自体は自分の手元に置いておけるので、期限ギリギリになって「やっぱり手放したくない!」と思えば返金することもできるのは、人によってはありがたいかもしれません。
いや…でも2ヶ月で返金手数料15%ってどうなんですか?(20,000円→23,000円)
気になりすぎる問題点は…
査定がいい加減すぎる!写真見てないよね!?
正直、気になってしょうがない問題点は「アイテムの撮影→査定」がおそらく自動で行われていること。
え?いいのこれ?
いちおう撮影前に「ブランド」の選択などがありますが、Twitterでは使い切りの「ソース」などを撮影して20,000円とか査定がついちゃってる人もいます。これでも「キャッシュ化」の処理を行えば現金が本当に入ってくるわけですけど…アイテムとしては絶対に受け取ってもらえません。
CASHマジで物の価値を完璧に理解してて素晴らしいアプリだぞ pic.twitter.com/IiiYsU3U56
— ピンフスキー (@hideyosino) 2017年6月28日
これもCASHしていきます。 pic.twitter.com/tXq5UkAa5R
— おさんぽみるく (@MILKWALKEE) 2017年6月28日
ということは、23,000円返金しなければならないということで…
「ソース」画像もどうかと思いますが、いい加減な査定にも問題があるんじゃないでしょうか?
そもそも査定のいい加減さからしても「こんなの受け取れないから返金して(手数料15%忘れずに)」となることが目に見えているでしょうから、要するに貸金を中心にしたビジネスモデルであると言われてもしょうがないと思うのですが?
そもそも法的にまずいのでは?
弁護士さんがマイクロレンディングサービスについて、このように見解を述べてらっしゃいます。
ちなみに「CASH」を特定しての記事ではありません。あくまで、
具体的事案の利用規約では、古物の売買を前提とし、目的物の引渡期限を2か月に定め、引渡期間の経過までの売買契約解約と売買代金支払義務、15%のキャンセル料の支払義務が定められており、同じく、これを前提に検討します。
(特定の企業を責めたいわけではないので、できるだけ抽象化します)。
という条件に当てはまるマイクロレンディングサービスについての検討です。
本件で問題になりそうな質屋営業法、貸金業法と出資法について検討されたのちに、まとめとして…
以上のように、上記前提の下でのマイクロレンディングサービスの運用は、違法かつ重い刑事処罰を科される可能性があるため、これを大々的に展開するのは非常に危険といえます。
サービスをスタートする段階で、当該サービスを開始する際には、貸金業登録の必要があること、あるいは、本当に流通を主眼としているなら、そのようなサービスとすべきことを知っておくべきでありましたし、あるいは、質屋営業法上の許可を得たうえで、同許可の範囲でできることをするよう考えていくべきだったと思います。
また、利用規約上、形式的に売買契約の形をとっておけば問題ないと思ったのかもしれませんが、甘い考えだと思われます。
法律に詳しくないので、いい加減なことを言えませんが、詳しくは上記ブログを読んでいただけると該当するマイクロレンディングサービスの抱える法的な問題が浮き彫りになります。
貸金でも質屋さんでもない、隙間を狙ったビジネス…だったのかもしれませんが、ちょっと事前の調査が足りなかったのではないでしょうか。
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しかし、すでにこれだけの利用があったということなので、利用者は返金かアイテム送付を行わなければなりません。ただ、査定のいい加減さからみてもアイテムを受け付けてくれる可能性は…正直かなり微妙なところでは?
そうなると15%手数料を乗せた返金ということになるでしょうから、運営としてはその瞬間は儲かるでしょうが、かなりのクレームになりそうな気がします。いや、クレームで済めばいいですけど、先に紹介した弁護士さんの見解通りなら刑事処罰の可能性も…
サービスの継続自体も危ういと予想しますが…さてさてどうなることやら。