【書評】子育てにこそ心理学を!メンタリストDAIGOさんの「子育ては心理学でラクになる」で、親は子どものメンタリストになろう!

書評

本の概要

巧みな話術と心理テクニックで、超一流のアスリートですら手玉に取り次々と選んだカードを当てていく…神業とも思えるメンタリングを自在に使いこなし、テレビでも大活躍中のメンタリストDAIGOさん。そのDAIGOさんがなんと子育て本を出版されていました!はっきり言って気になる!子育てにメンタリングはどう活かされるのか?興味津々で買っちゃいました。

しかし、実際に読んでみると思っていたよりも真面目な子育て本です。小手先の心理テクニックなどはほとんどなく、理屈の通った「なるほど!」と思わせる内容ばかり。あとがきで言われている「子どもを変えようとするのではなく、どんなときでもまず変わるのは自分」という考え方にはとても共感できます。そしてさらにウィルパワーという超重要なキーワードがでてきて何度もウンウンと頷いてしまうのですが、それはレビュー本文にて。
親としての成長のためにも読んでよかった一冊です!

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メンタリストのDaiGoがなぜ子育ての話をするのか?
それは「親は子どものメンタリスト」であるべきだから。
子どものココロを見るワザを身につければ、
子どもは自ら変わり、やる気を出し、将来の可能性を見つけ出します。
そしてお母さんはイライラから解放されます。
「なんで勉強しないの! 」「なんでいうことを聞かないの! 」と
もうガミガミしなくていいんです。なんてうれしいことでしょう。
ではそのために「どうすればいいか?」――これにお答えしたのが本書。
世界中の学術機関で立証された、最新の心理学に基づくワザを教えます。
日本唯一のメンタリスト・DaiGoさんから
子育てを成功させたいお母さんへ、最強のアドバイス。

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本書のここがポイント

意志力の高い「親」であれ!

自分で決めたことをやり遂げるには、「意志力」が必要なのは言うまでもありません。しかし、「意志力」は個人的なものである一方で、周囲の影響を強く受けるもの。つまり、周囲に意志力が強く、何かに向けて努力し、挑戦する人がいれば、その影響を受けて自分も意志力を試すチャレンジを始めることができますが、反対に、意志が弱く、すぐにラクなほうに流れてしまう人が周囲にいては、どんなに崇高な決意があったとしてもそれをやり通すには大きな困難が伴うに違いありません。  つまり、意志力とは感染するものなのです

本書における最重要のキーワードは、「ウィルパワー(意志力)」。子育てとは、子どもの意志力をいかに高めていくか、自立した一人の人間として生きる力を持たせるか、まさにここなのです。
確かに「学ぶ」「挑戦する」「規則正しい生活を送る」「人に優しくする」「挫折から立ち直る」…等、私たち大人が子どもにこうあってほしい、こうなってほしいと願ういわゆる「理想の姿」の子どもが取るであろう行動には、すべからく意志力が必要になります。

そして、興味深いのは「意志力が感染する」ということ。つまり、周囲に意志力の高い人が多ければ、子どもも意志力が高くなる。意志力が低い人が多ければ、子どもも意志力が低くなる。意志力とは、周囲の環境に大きく影響を受けるのです。
だからこそ、DAIGOさんは、子どもにあれこれと指導する以前に、まず子どもにとって一番身近な存在である私たち親が、意志力の高い行動・生き方を見せ続けなくてはならないと言われています。

親自身がぐうたらな生活をしていて、子どもにどんなに偉そうなことを言っても、何の意味もないということですね。うっ…耳が痛い(汗)
とはいえ、ここの部分を読むことができて、私の中の「子育て」の概念がかなり大きく変わりました。子どもに干渉していくだけが子育てではありません。親自身が、子どもに望む姿で生きる。これも立派な子育てなのです。

言葉はイメージできるくらいに、正確な文章でわかりやすく話す

簡単にできるトレーニング方法はまだあります。すぐにでも実践できるものとしておすすめなのは、話し方を変えること。
・「あれ」「それ」という指示代名詞をやめ、固有名詞を使う。
・「~みたいなのよね」という曖昧な言い方をやめてみる。
・否定語を一切使わない。
たとえば、「ダメよ」をやめて、「テレビばかり見ていると、目が悪くなっちゃうんじゃない?」というように。これは衝動を抑える訓練になります。  日本語は便利な言語で、話し言葉はきちんとした文章になっていなくても通じてしまいます。たとえば「塩」と言っただけで塩の小瓶が手渡されるなど、家の中では単語しか口にしない、ということも通用してしまうほど。  これを「正確な文章で話す」と意識化するだけでも、多大なコントロール力が必要になり、ウィルパワーが鍛えられます

意志力(ウィルパワー)を鍛えるためのトレーニングとして、言葉の訓練が紹介されていました。これも子どもに対して「こういう言葉を使いなさい」ではなく、まずは親が先に意識して行なっていくのが大切ですね。

何の本で読んだかは忘れてしまいましたが、子どもの語彙力とキレやすさの関係についての調査について読んだことがあります。そこでは、語彙力の高い子は比較的キレにくく、語彙力の低い子がキレやすい傾向が見られたそうです。
この違いはどこからくるのかというと、自分自身の気持ちや考えを正確に表現できる(語彙力が高い)子は、相手にも自分の伝えたいことを理解してもらいやすくなるのでキレる必要がない。逆に、自分の気持ちや考えを正確に表現できない(語彙力が低いため)子は、相手に言葉で伝わらないことから、キレるという行為を通して表現せざるを得ないということなのです。

怒り・不満・悲しみ・苦しい・辛い…これらのマイナスの気持ちを、「むかつく」という言葉でひとまとめにして表現する人がいます。しかし、聴いている側にはその「むかつく」がどの感情なのかわかりませんよね?誰に、どのように、どのくらい、むかついているのか?正しく伝わらないから、イライラが増幅されて自分の意志とは関係なく「プチっ」とキレてしまう。本当は「伝えるべき言葉を使う」ことができれば、不幸なことにならなくてすんだはずなのに…。

確かに感情は心の底から湧き上がってくるものですが、意志の力でコントロールできるところもあります。そのために「正確な文章で話す」ということは、様々な場面で役に立つので、意識してトレーニングしていきたいものです。

まずは「気持ち」をしっかりと聞いてあげる

たとえば小さな子どもが床にクレヨンで落書きをしたとき。「何してるの!」ではなく、「スケッチブックもあるのに、どうして床に書いたの?」と聞いてみる。また、受験が近いというのに塾をサボったときは、「今までサボらなかったのに、なぜ今日は行かなかったの?」と聞いてみる。  重要なのは、「なぜ!?」「どうして!?」と問いつめるように使うのではなく、「わからないことを教えてもらう」ためにシンプルに使うこと。素朴な疑問を発するように、声のトーンもいつもと同じように発します。  すると子どもは、「何がしたくてそれをしたのか」「どういう気持ちだったのか」を、つたない言葉ならつたないなりに、自分の感情を言葉にします。  大人でもうまく自分の感情を言葉するのは難しいものです。その難問に子どものうちから向き合うことは、言葉の力を広げるのにとても役立ちます。  そればかりか、常に自分の気持ち・考えを周囲に伝えるという積極性も身につくに違いありません。  同時に、自分の中に眠っていた感情を親が引き出してくれたという事実は、「親はわかってくれる」という信頼感にもつながります

つい先日の私のコミュニケーションの授業でも質問がありました。
「子どもが悪いことをしたときに、どのように叱ればいいのか?」

考え方はDAIGOさんと同じです。まずは普段通りのトーンで「どうして○○したの?」と聞いてあげることなんですね。
大切なことは、「悪いこと」と全てをひとくくりに捉えるのではなく、一度冷静に「行為」と「感情」を切り分けること。そうすると、「行為」そのものは間違ったことをしてしまったかもしれませんが、「感情(気持ち)」は受け入れてあげることができるようになります。

『○○くんに…をバカにされて悔しかった!(感情)だから、叩いた!(行為)』
『そっか。バカにされて悔しかったんだね。その気持ちはわかるよ。(気持ちの受け入れ)ただ、叩くのはいいことなのかな?(行為を正していく)』

人は、わかってくれる人、受け入れてくれる人に心を開きます。「行為」と「感情」を切り分けて、感情は受け入れる、行為は正していく(一緒に考える)ことで、子ども自身が気持ちを理解してもらえる安心感を得て、行為の善悪について考え、判断することができるようになっていきます。

心の整理には「マインドマップ」

それは「マインドマップ」。  自分の思いを心のままに書いてみて、それにむけて今できることをひとつずつ考えていく方法です。  マインドマップをつくることで、どう育てれればいいか、何から始めればいいかなど、今までごちゃごちゃに混乱していたことがスッキリします。心の整理がついて、子どもに無理強いしたり、イライラすることもなくなります

TLI(ThinkBuzan社公認マインドマップインストラクター)として、こうやってマインドマップが役立ちますよと紹介されていると嬉しいですね。

確かに自分自身の頭の中や心の中を探るとき、マインドマップは非常に効果的です。

ちょっと考えていただきたいのですが、皆さんは自分の頭の中でモヤモヤした思いがあるとき、それをまるで作文のように表現できるでしょうか?おそらくかなり難しいはずです。というか、文章化できるのであれば、おそらくモヤモヤしません。自分の思いや考えがよくわからないからこそモヤモヤとするんですね。

そんなときでもマインドマップでしたら、まだ形になっていないモヤモヤとした思いを書き出すことができます。そのポイントは「キーワード」。 文章にしなくてもいいので、とにかく頭の中にあるキーワードを連想しながら書いていくだけです。たくさん出てきたキーワードを後から客観的に眺めてみると、自分の中にあったモヤモヤが意外と整理されていることに気づくはずです。

心の整理がつくだけでも、子どもや家族へのイライラが減りますし、何をすればいいかという具体的な「やること」も見えてくるのでオススメです。

もちろん、マインドマップは子どもの学習や気持ちの整理にも使えますので、親子で身につけるのもいいですね!

ちなみに本書では、特に「子育て」ということにテーマを絞り、3つの手順でマインドマップを書くというちょっとオリジナル要素を含めたテンプレートが紹介されていますので、参考にされると書きやすいかもしれません。

  • 3つの手順例:子どもの興味→やらせたいこと→今できること

まとめ

人の心を読み、動かすことに関しては超一流のメンタリストDAIGOさんの子育て本。
子どもへの心理学的なアプローチもたくさん書いてありましたが、やはり最大のポイントは 「意志力(ウィルパワー)」
親自身がまずは意志力の高い姿を見せなさいという、子育て本でありながらも自己啓発本としての側面もある学びの深い一冊。本当、自分自身の意志力について考えさせられます…。自分への戒めとして何度でも振り返りたいと思う良書でした。

もちろん心理学的なアプローチも具体的でわかりやすく、

  • 「集中できる子ども部屋の作り方」
  • 「子どものやる気を引き出す7つの言葉」
  • 「子どもの心に火をつける関わり方」

などは、すぐにでも実践できて、親が「子どものメンタリスト」になるためにきっと役に立つはずです。

子育て中のお母さんはもちろん、ともすれば子どもとの接し方に悩むお父さんにとっても、親としてのあり方を考えさせてくれる一冊。そして、子どもの前に立つすべての大人に読んでほしい一冊です。

目次

■子育てにこそ、心理学が必要
なぜこじれた親子関係に気づかない?
子どもの将来がわかる「マシュマロテスト」
■子どもにイライラしなくなる、すぐにできる心理学
なぜ子育てが上手な人は、ダイエットも成功するのか?
子育て中は〝誘惑〟に弱くなる
子育てストレスを減らす食事と睡眠
1日3分、イライラしなくなるトレーニング
■環境を整えるだけで子どもが変わる5つのアドバイス
「~しなさい! 」と言うほど、反発心は1・5倍に
成功者のほとんどが早起き
口応えがなくなる食事
集中できる部屋づくり
勉強がはかどる激安ツール
カレンダーで時間の使い方がうまくなる
■子どものやる気を引き出す7つの言葉
反抗期を乗り切る唯一の方法
親子の会話のコツは「聞く」こと
子どもの心を閉ざす危険な言葉
子どもの悩みは無理に聞き出さない
やる気を引き出す7つの言葉
■子どもの可能性を広げるポイント
子どものココロに火をつける「キュリオシティ」
子どもの悩みにも効く「マインドマップ」

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